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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(四)城の絵図面

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(四)城の絵図面(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,179 字 · 280 頁

青空文庫

「御免下さい」

「ドーレ」

「旦那様お出ででございましょうか。あっしは神田の平次と申して、町方の御用を承っている者でございます。ちょいとお教えを願いたいことがございますが、ヘエ」

平次はそう言いながら、日頃にもない強かな顔を挙げるのでした。

「何? 神田の平次だ? 町方の岡っ引などにお目にかかる旦那ではない、帰れ帰れ」

取次の小者は、肩肘張って入り口を塞ぎながら、精いっぱいの威嚇的な声を出します。

「御尤もで、強ってとは申しませんが、それじゃ、これだけの事を申上げて下さい。こちらの旦那様と一緒に沖釣に行ったはずの、志賀内匠様の死骸が、百本杭から揚がったと――」

「何?」

「品川沖から、死骸が大川を遡上るのは、どうも面白くないことだと申上げて下さい、ハイ、左様なら」

「あ、これこれ待て」

後ろから呼止めたのは、中年の立派な武士――多分これが主人の川上源左衛門でしょう。

「ヘエ、ヘエ」

「今聞いていると、志賀内匠氏の死骸が、百本杭から揚がったとか言うようだが、それは何かの間違いではないか」

「間違いじゃございません。母親のお加世様とお配偶の関様が御覧になって、たしかに内匠様に相違ないとおっしゃるのですから」