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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(四)城の絵図面

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(四)城の絵図面(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,179 字 · 280 頁

青空文庫

術だ」

「読めたッ、――それに違えねえ、親分」

「今ごろ読めたって自慢にはならねえ」

「太え殿様野郎だ。これから踏込んで、三万七千石の家中を引っくり返し、人身御供にあがる志賀内匠というお武家を救い出して来ましょう。親分」

ガラッ八は本当に、三万七千石の大名を向うに廻して、一と汗掻く気でいるのでしょう。拳固に息をかけたり、腕をさすったり、懐の十手を取出したり、一生懸命の姿でした。

「大層な勢いだが、向うへ乗込んでどうするつもりだ」

「殿様――と言いてえが、用人か家老の首根っこを押えて、志賀内匠様を救い出す」

「証拠があるかい」

「……?」

「志賀内匠という方が、釣などに行かなかったという証拠があるかい――その上西久保の屋敷に隠されているという――」

「親分」

ガラッ八は助け舟の欲しそうな顔でした。

「川上源左衛門と治太夫の口が違う、それが何よりの証拠だ。源左衛門は芝浜の高砂で別れたと言ったが、治太夫はこっちの罠に乗って、品川の寿屋で別れたと言った」

「なアる」

「まだあるが、言うと手前が飛出しそうにするから、預かっておこう、――志賀内匠という方の命には別状あるまい、もう少し様子を見るがいい」