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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(四)城の絵図面

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(四)城の絵図面(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,179 字 · 280 頁

青空文庫

明日はその絵図面を龍の口に持参、公儀のお許しを願い出ようという時、棟梁の藤兵衛は、自分の引いた絵図面の中に気に入らないところがあるから、ほんのしばらく拝見したい――と、石津右門の渋るのも構わず末広町の自宅に持って帰り、一と晩止めて、ほんの少しばかり手を入れた上、翌る日は上屋敷に持参、家老石津右門と、用人大垣伊右衛門立会の上、開いて見ると、これが真っ赤な偽物、――奥州のお城の絵図面とは似も付かぬ、藤兵衛が江戸で請負をした、寺や屋敷の絵図面と変っていたのです。

「それから三日間、藤兵衛の家は言うに及ばず、上屋敷まで調べたが、絵図面の行方は皆暮解らない。その上、今朝江戸御留守居の大垣殿お長屋へ――国許居城の大修理は、籠城の用意と相見えた、謀叛の企て証拠の品を揃えて、公儀へ訴え出るがどうだ――という投げ手紙が飛込んだ」

石津右門はこう語り進みます。

「…………」

事の重大さに、平次も固唾を呑むばかり。

「それを聴いて、棟梁の藤兵衛は今朝生害して相果て、御上屋敷においても、奥方様始め下々まで、安き心はない。折柄主君は御在国中、この上の思案も尽きて、平次殿の智恵を拝借に参ったのじゃ」