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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,575 字 · 424 頁
という抗議の来ないまえに、自分から小説解剖をして作家の構成というものの裏を打ち明けておく。
静の宿所へ、梶原景茂たちの若殿輩が押しかけて、酒興のあげく、景茂が静へ、猥らなまねに及び、かえって、静に面罵された事実は、吾妻鏡では、鶴ヶ岡の盛事があってから後日のことになっている。その月日も明白なのだ。が、私の小説ではわざとそれを鶴ヶ岡の舞以前におきかえたのである。
なぜといえば、鶴ヶ岡の舞殿に立った日、静はすでに妊娠六月の身重だった。だから吾妻鏡に従うと、景茂たちの猥らは、静が七月のときになる。七月にもなる妊婦では、どう考えても、事がおかしい。君命の下に預かり中の女人でもある。静にしても、そんな体で、若人の酒の座へ相手に出たのなら、自分から好き好んでいたようなものになろう。――おそらく、この風聞は、吾妻鏡の筆者が、およそな日の項に、後で書き入れたものにちがいない。しかし、月日などはともかく、この事実は、当時の鎌倉にも、景茂みたいな戦後派が、もう簇生していたことがよく分かっておもしろい。(「新・平家」では景家)
も一つ。
静が産んだ義経の子は、吾妻鏡だと“――台命ニ依ツテ由比ヶ浜ニ棄テシム”となっている。