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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,575 字 · 424 頁
源氏の義経が平家の海軍を破ったのは、よくここの海流の時速と、潮の干満を戦機に利した点にあったという。しかし平家にも、九州勢の味方はいたし、峡門の地勢と潮の特殊条件を無視して、海戦に臨むわけはない。ぼくなども、義経は好きだが、そして義経の生涯や性格に多分な詩と劇的な興味は覚えるが、義経讃美も度が過ぎて、いわゆる判官びいきの引き仆しが多く、その一例がここにも見られる。
他日のための、職業意識が急に眼を忙しくする。地図を読むようにあちこち睨む。どこへ行っても、ぼくは写真やメモをとる習慣がない。カメラに収めたと安心すると、脳膜の映像はケロリと忘れてしまうからである。「――あれが満珠島です。この対岸から、あの辺までを一帯に壇ノ浦といったのでしょうな。田ノ浦ですか。田ノ浦は、長門側にも、こっちの岸にもあるんですが、古記には混同しているようですね。平家の船団が拠った引島(彦島)は、さっきの駅に近い方です。ええ巌流島に近い……。もっと上へ登ってみましょうか」と、悟空子のいうがままに、和布刈神社の裏をまわって、岬の山へ登ってゆく。
何やら先の山蔭に、工場の屋根らしい物が見えてくる。