Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
Read 三国志(七) (さんごくし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N1. Tap a word for the meaning.
N1 · advanced · modern kanji and kana · 371,916 characters · 744 screens
「これはいかん」と、その日から仮病をつかい始め、宿痾の再発に悩んで近頃引き籠り中と、味方にまで深く偽っていた。
動くべき筈の陸口の兵が、依然うごかずにいるのみか、呂蒙が病にかかって一切人に顔も見せないでいる――という噂に、建業にある孫権も甚だしく心配した。
「この重大時局に?」と、焦躁のあまり、呉郡の陸遜を見て、
「火急、陸口へ赴いて、呂蒙の容体を見てこい」
と、いいつけた。陸遜は命をうけると、
「ご心配には及びません。おそらく呂蒙の病は仮病でしょう」
と、云って出た。彼はすでに呂蒙の心を読みぬいていたのである。
が、陸口に着いてみると、呂蒙はほんとに病閣を閉じていた。陣中、寂として、将士も憂いに沈んでいる。
陸遜は、呂蒙に会うと、にやにや笑いながら云った。
「将軍。もう病床からお起きなさい。ご病気は、それがしが直ぐ癒してあげる」
「遜君。ご辺は病人をからかいに来たのか」
「いや君命に依って、閣下を診察にきたのだ。それがし不才なりといえども、先頃、将軍が建業に来られた時に、すでに胸中を察しておった。以後、現地に帰るとすぐ、呉侯のご期待を裏切って、急にご病気になったのは、思うに、荊州の防衛が全然将軍の予想に反していたためではありませんか」