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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
Read 三国志(七) (さんごくし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N1. Tap a word for the meaning.
N1 · advanced · modern kanji and kana · 371,916 characters · 744 screens
鶏肋
一
「なに、北国の乱も平げた上、さらに、父の加勢にきたというか。ういやつ、ういやつ。勇気はそれだけでも百倍する。もう玄徳に負けるものか」
よほどうれしかったとみえ、曹操は馬上から手をさしのべてわが子の手を握り、しばらくその手を離さなかった。
鶏肋
一
ここまでは敗走一路をたどってきた曹操も、わが子曹彰に行き会って、その新手五万の兵を見ると、俄然、鋭気を新たにして、急にこういう軍令を宣した。
「ここに斜谷の天嶮あり、ここに北夷を平げて、勇気凜絶の新手五万あり、加うるに、わが次男曹彰は、武力衆にすぐれ、この父の片腕というも、恥かしくない者である。こう三つの味方を得た以上は、盛りかえして、玄徳をやぶることも、掌中の卵をつぶすようなものだ。いざ斜谷に拠って、このあいだからの敗辱を一戦にそそごうではないか」
かくて、戦の様相は、ここにまたあらたまって、両軍とも整備と休養を新たにし、第二次の対戦となった。
玄徳は、諸将と共に、陣前に出て云った。
「おそらく曹操は、こんどの序戦に、わが子曹彰を自慢にして出すだろう。そのとき曹彰を迎えて、一撃に討ち、彼の気をくじくならば魏の雑兵何万をころすよりも、この戦局を一変し得るが……。