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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

Read 三国志(七) (さんごくし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N1. Tap a word for the meaning.

N1 · advanced · modern kanji and kana · 371,916 characters · 744 screens

Aozora Bunko

三

曹操は楊修が、その文意を語りだそうとするのを押えて、

「さようか、しかし、しばらくそれをいわずにおるように、予も考案して見よう」

と馬にまたがり、山荘を出て行ってしまった。

しばらくして、莞爾とした顔を現し、楊修に向い、

「汝の考えを申して見よ」

という。楊修がかしこまって、

「これは確かに隠し詞に違いございません。黄絹と申すは即ち色の糸、文字にしますれば『絶』の字にあたります。幼婦は即ち少き女『妙』の字です。外孫は即ち女の子、これ『好』でありましょう。韲臼は即ち辛きを受ける器で『辞』の字に当ると考えます。これを連ねて『絶妙好辞』これは邯鄲淳の文を賛して、絶れて妙なる好き辞と褒めたものと存じますが」

よどみなく説明した。

曹操大いに愕いて、予の考えも全く同じであった、と楊修を賞した。山荘を出でて本軍を追い、日ならずして漢中に着いた。

漢中にあった曹洪はうやうやしくこれを出迎え、まず張※(「合+おおざと」、第4水準2-90-10)がたびたびの戦に敗れたことを語った。

曹操は、

「これは張※(「合+おおざと」、第4水準2-90-10)の罪ばかりではない、勝敗は、武士の常の道、とがむることはあるまい」