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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
Read 三国志(七) (さんごくし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N1. Tap a word for the meaning.
N1 · advanced · modern kanji and kana · 371,916 characters · 744 screens
曹丕は内心舌を巻いて、
「呉の国には、汝のような人物は、どれほどおるか」と、また訊ねた。
すると趙咨は腹をかかえて笑い出し、
「それがし程度の人間なら桝で量って車にのせるほどあります」と、いった。
ついに曹丕は三嘆してこの使者を賞めちぎった。
「四方ニ使シテ君命ヲ辱メズというのは実にこの男のためにできていることばのようだ。うい奴、うい奴、酒をとらせよ」
趙咨はすっかり男を上げた。たいへんな歓待をうけたばかりでなく、彼の与えた好印象と呉の国威とは深く曹丕の心をとらえたとみえて、外交的にも予想以上の成功を収めた。
すなわち、大魏皇帝は、使者の帰国に際して将来の援助を確約し、また呉侯孫権にたいしては、
(封じて呉王となす)
と、九錫の栄誉を加え、臣下の太常卿貞にその印綬をもたせて、趙咨とともに呉へ赴かせた。
皇帝みずから定められたので、魏の朝臣はどうすることもできなかったが、呉使が都を去るや否、疑義嘆声、こもごもに起って、
「あの小男めに一杯くわされたかたちだ」
となす者が多かった。
劉曄の如きは、面を冒して、皇帝に諫奏し、
「いま呉と蜀とが相戦うのは、実に天が彼らを滅ぼすようなもので、もし陛下の軍が呉蜀のあいだに進んで、内に呉を破り、外に蜀を攻めるなら、両国もたち所に崩壊を現すでしょう。