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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

Read 三国志(七) (さんごくし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N1. Tap a word for the meaning.

N1 · advanced · modern kanji and kana · 371,916 characters · 744 screens

Aozora Bunko

また第四路は。――反将孟達を中心に上庸の兵力四万が漢中を衝く。

さらに第五路としては。――大都督曹真の魏軍の中堅を以てし、陽平関を突破し、東西南北四境の味方と呼応して、大挙、蜀に入って、成都をふみつぶさんとするもので――これら五路の総軍を合するとその兵力は五、六十万をこえるであろうと想像された。

幼帝劉禅の怯えられたことはいうまでもない。父帝とわかれたのもつい昨日、蜀の皇帝に立ったのもわずか昨今である。

「孔明はどうして見えぬか。疾く孔明を召しつれよ」

と、ひたすら丞相ひとりを力にされて幾度も問われた。

もちろん宮門からは何度となく孔明に使いが通っていた。けれど孔明は門を閉じて、

「近頃、病のために、朝にも参内し得ぬ始末」

とのみで、いかに事態の大変を取次がせても、顔すら見せないというのであった。

後主劉禅は、いよいよ怖れかなしみ、勅使として、黄門侍郎董允と諫議大夫杜瓊のふたりをまたさしむけられた。

ふたりは、早速、丞相の府を訪ねた。ところが、噂のとおり、門は閉ざされ、番人はかたく拒んで、何といっても、通さない。やむなく二人は、門外から大音をあげて、