Japanese reading practice

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けんきょうじゅなん

剣侠受難

国枝 史郎

Read 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 195,479 characters · 394 screens

Aozora Bunko

傀儡師

「どっちにしても物騒な世情だ」

「台閣諸侯も困難でござろう」

「いや全く困難らしい。叛骨を帯びた連中が随分諸方面にいるようでござる。南海の龍、紀州大納言、このお方などは随一人だ」

「変な浪人も沢山いますな」

「由井正雪、山鹿素行」

「外様大名にも危険なのがいます」

「伊達、島津、加賀、毛利」

「天草、島原の残党などもな」

「それに近来頻々と、奇怪な盗賊が横行するようで」

「それに」と舞二郎はうれしそうに、「お聞き及びでもござろうが、婦女子をかすめる悪漢が跳梁跋扈しているようで」

この時であった、不思議な声が、塀の外から聞こえて来た。

「イスラエルの神に……にえ捧げようぞ!」

続いてジャラーンという音がした。

しわがれてはいるが力のある、鬼気を含んだ声である。

「あいつの声だ! 間違いない。……ご免」というと広太郎、裏門から外へ飛び出した。

傀儡師

飛び出したところは屋敷町、いつもは人通りが少ないのに、近所に祭礼でもあると見えて沢山人が歩いている。その人々の頭の上、二尺あまりもグンとぬきんで、巨大な白木綿が歩いていた。純白の髪を肩へたれ、純白の行衣を身にまとい、一尺ばかりの一本歯の下駄、そいつをはいた修験者で、環のついた鉄杖をつき、数間のかなたを人波を分け、悠々と歩いて行くのである。