Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

らんとうばのてんにょ

卵塔場の天女

泉 鏡花

Read 卵塔場の天女 (らんとうばのてんにょ) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 47,251 characters · 94 screens

Aozora Bunko

(――時に、ここで乃聞いたのが、綺麗な扇を持った※(始め二重括弧、1-2-54)……友だちだから特に讃して言おう※(終わり二重括弧、1-2-55)白い手とともに舞台から消えた、橘八郎の最初の消息であった――)

私はやや狼狽えていた。

次第を話そうが、三日目のこの朝、再びお悦さんが私たちの旅宿に音訪れた。またどんな事情があって昨日の幹事連が押寄せないとも限らない、早く出よう。支度をするのに、直ぐ能舞台へ出勤するのが道順だから、八郎は紋着を着た。その舞袴を着けるのが実に早い。夜討に早具足だから、本来は、背後へ廻って、支膝で、ちょっと腰板を当てるのが、景情あいともないそうなお悦……(早間に掛けては負けそうもない、四時半から髪結を起したと云う)が、うっかり見ていたから、八郎の袴羽織には初めて接したかも知れないのであった。

途中を電車で、私の見物のために、一度いま話すこの大川通で下りて、橋袂に、梢は高く向う峰のむら錦葉の中に、朱の五重塔を分け、枝は長く青い浅瀬の流に靡いた、「雪女郎」と名のある柳の大樹を見て、それから橋を渡越した。志す処は、いずれも維新の世の波に、江戸を落ちた徳川の流の末の能役者だったという、八郎の母方の祖父伯父また叔父、続いて祖母伯母また叔母などの葬られた、名も寺路町というのの菩提寺であった。