Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
たんていしょうせつのなぞ
探偵小説の「謎」
江戸川 乱歩
Read 探偵小説の「謎」 (たんていしょうせつのなぞ) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 119,820 characters · 235 screens
私の採集した著名な作家でいえば、ドイル、クリスティー、ブラマ、ロード、クィーン、カー、チャンドラーなどに、それぞれこのトリックを使用した作例がある。
ではそれより前、すなわちポー以前には、例がないかというと、むろんある。ポーの最初の探偵小説「モルグ街の殺人」に一歩先んじて、一八四一年の初めから、イギリスの文豪ディケンズが週刊誌に「バーナビイ・ラッジ」の連載をはじめたが、この長篇歴史小説のプロットの骨子をなすものは「顔のない死体」のトリックであった。
田舎のある邸宅の主人が殺され、同時に執事と庭番が行方不明になる。二人の内の誰かが下手人にちがいないのだが、いずれとも、判断しかねているうちに、やがて一カ月ほどして、同じ邸の古池の中から一つの死体が発見される。顔はくずれていたけれども、服装によって執事の死体とわかり、庭番の男が主人と執事を殺して逃げ去ったものと判定される。しかし、これが実はトリックで、真犯人は執事であった。彼は主人を殺して金を奪い、これを気づいた庭番を殺して、死体に自分の服を着せ、自分は庭番の服を着て逃げ去ったのである。
ディケンズは、イギリスではシェークスピアにつぐ文豪といってよい人であるが、この人がなかなかの探偵小説ずきであった。