Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
まつのやろはち
松のや露八
吉川 英治
Read 松のや露八 (まつのやろはち) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 125,597 characters · 253 screens
壬生浪のごとき、無教養ではあるまい。一議論、試みようではないか」
「よせよせ、今は、議論の時代じゃない。何もかも、力行実践の時だ」
「しかし、クヮイズ侍が、どれほど陳腐な頭なりや、西瓜ではないが、叩いて中実を試みるのも一興だぞ」
「何の、東北の熊襲に、味噌も見識もあるものか。彼らも、力行実践でやって来たのだろう、そのときに、吾々も、一剣をもって酬えば足る」
ほお歯の下駄を踏み鳴らして、町も狭しと歩いて行くのである。
それを、旅舎の二階から、会津の家臣らしい首が四ツ五ツ歯ぎしりして見送っている。――ふと立ちどまって眺めていた露八ですら、胸がむかついて、ゆるせない気もちがした、追いかけて行って、撫斬りにしてやったら、さだめし、生姜で冷酒を飲んだように、さっぱりするだろうにと空想した。
(弟にゃ、こんな気持はしねえのかしら)
露八は、ふしぎに思った。
八十三郎も、江戸で生まれ、江戸で育ち、自分と同じ環境の中から出たのに、その弟が、やはり今のような連中の仲間かと思うと、理屈はどうあっても、嫌な気がした。
のみならず、父の死を聞いても、一向それによって動ずる容子もなく、冷然としていたこの間の顔つきなども、気にくわないものであった。