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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(四)城の絵図面
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(四)城の絵図面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 139,179 characters · 280 screens
「お」
「親分、血じゃありませんか」
「そうだよ、だから明るいうちに外廻りを見ようと言ったんだ」
窓の下に置いた乾物の俵の端っこに、ほんの二三点、飛沫いたように黒くなっているのは、馴れた者の眼から見れば、紛れもなく血の跡です。
「此店じゃ生物は扱わないだろうな」
「そりゃ親分」
言うだけ野暮で、相模屋は聞えた乾物問屋ですから、血の滴るような魚を扱う道理はありません。
「その辺りを丁寧に探してみな、何かあるかも知れない」
平次に言われると、八五郎は馴れた猟犬のように、眼の及ぶ限りを捜し廻りましたが、それっきり、あとはなんの変ったものもなかったのです。
納屋へ入ると、仁助と吉三郎は足止めを喰って、すっかり悄気返っております。
「正月の三日ですよ、親分、足止めは殺生じゃありませんか」
そう言う吉三郎が、若くて遊び好きそうに見えるのも不憫です。
「まア、長い事はない、辛抱するがいい、ところで二階へ行ってみるが、二人とも一緒に来て貰おうか」
「ヘエ――」
平次はガラッ八と仁助と吉三郎を従えて、ガタピシする梯子を踏んで二階へ登りました。
「なるほど、ここからは手が届かない」
窓を開くと、勘次郎の殺された部屋までは四間あまり、ここから向うへ届くような踏板もなく、まず綱でも張って、軽業の太夫でも伴れて来なければ、向うへ渡る見込みはありませ