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あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
Read ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) by 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 132,905 characters · 262 screens
天女ヶ原の疎林と十勝岳の挿図
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この尊ぶべき山に今や開発計画が進められ、詳細を私は知らないけれど、なんでもバス道路が層雲峡から赤岳へと延長され、将来は大雪山の中心部をユコマンペツへ横断する計画さえある……と聞いた時、私は愕然とした。ここばかりではないが、バスの登山こそ、およそ邪道の骨頂である。もう乗鞍だけでたくさんだ。老人や婦人子供のため――などとは企業家の空念仏にすぎまい。婦人は特に弱者扱いすべきでなく、老人は私もその一人としていさぎよく辞退したい。子供に至っては、そんな物で登山することを覚えては、前途が思いやられる。この狭い国土で若い人たちが足を延ばす場所は、山より外に無いではないか、ましてや大雪山は足ざわりのいかにも柔かい、もったいないほど歩きよい山なのである。これをしも歩けない、あるいは歩かないというのなら、それは山を鑑賞する資格を持たない者で、国をあげて病人となり、民族の前途は滅亡の外道がなかろう。
バスの山登りには私はまったく賛成できないが、開発を無用とはしない。それには奥地の三股、石狩岳、あるいは十勝岳などへの歩道や、トムラウシ、化雲、十勝方面における小屋の、新設、改善こそ最も望ましく、それ以上の便利化は肝心の大雪山の価値を傷つけ、やがて民族の自殺行為であることを、強く識者