Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
Read 三国志(七) (さんごくし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N1. Tap a word for the meaning.
N1 · advanced · modern kanji and kana · 371,916 characters · 744 screens
おれの云うとおりにしておけばよい」
※(「广+龍」、第3水準1-94-86)徳は衣服を着かえ、やがて後から客間へのぞんだ。客はみな正面の柩をいぶかって、主人の意をあやしみ、お通夜のようにひそまり返っていた。
「やあ、失礼いたした。――実は、明朝の出陣をひかえて、突然、魏王からお召しがあったので、何事かと伺ってみると、実に思いもよらぬおことばで――」と、逐一こよいの顛末を話し、なお魏王の大恩に感泣して帰ってきた心事を一同へ告げたうえ、
「――明日、樊川へ向って立つからには、敵の関羽と勝負を決し、大きくは君恩にこたえ、一身にとって、武門の潔白を証し立てんと存ずるのである。所詮、このたびの出陣こそは、生還を期しては立てぬ、それ故、生前の親しみを、一夜に尽して、お別れ申しておきたいと思う。どうか、夜の明けるまで、賑やかに飲んでもらいたい」
それから、女房の李氏へは、
「われもし関羽を討ち得なければ、われかならず関羽のため討ち果されん。われ亡きのちは子を護り、父に勝る者を育てて、父の遺恨をすすがせよ。よいか、たのむぞ」と、云いのこした。
悲壮な主の決心を知って、満座みな袖をぬらしたが、妻の李氏は、かいがいしく侍女や僕をさしずして、夜の白むまで主人や客の酒間に立ち働き、ついに涙を見せなかった。