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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
Read 三国志(七) (さんごくし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N1. Tap a word for the meaning.
N1 · advanced · modern kanji and kana · 371,916 characters · 744 screens
永安宮中、なげきかなしむ声のうちに、孔明はやがてその霊柩を奉じて、成都へかえった。
太子劉禅は、城を出て迎え、哀痛して、日々夜々の祭を営んだ。
そして、父の遺詔をひらき、読み拝して、
「かならず泉下の御心を安んじ奉りまする」
という旨を、祭壇にこたえ、また群臣に誓った。
蜀の臣下もまた、先帝の遺詔を、暗誦するばかりくり返しくり返し読んで、かならず違背なきことを孔明に約した。
「国は一日も、君なくんばあらず」と、孔明は百官に議して、その年、太子劉禅を皇帝の位に上せて、漢の正統を継ぐの大式典を執り行った。
同時に改元して、章武三年は、建興元年とあらためられた。
新帝劉禅、字は公嗣。ときまだ御年は十七歳であったが、父の遺詔を奉じて、よく孔明を敬い、その言を尊んだ。
帝のお旨によって、孔明は武卿侯に封ぜられ、益州の牧を領した。また、その年八月、恵陵の大葬がすむと、国議は、先帝劉玄徳に、昭烈皇帝と諡した。
大赦の令が発せられ、国中みな、昭烈皇帝の遺徳をたたえ、また新帝の治世に、その余光あれと祈った。
魚紋
一
玄徳の死は、影響するところ大きかった。蜀帝崩ず、と聞えて、誰よりも歓んだのは、魏帝曹丕で、