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らんとうばのてんにょ
卵塔場の天女
泉 鏡花
Read 卵塔場の天女 (らんとうばのてんにょ) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 47,251 characters · 94 screens
……明後日――時間前にさえ楽屋へ行けば可いんです。――若干金か、旅費を出して、東京から私を呼ぶったって……この土地の人は、土地流の、土地能の、土地節の、土地謡の方が大した自慢でね、時々九段や、猿楽町……震災で焼けたけれど、本舞台へ来て見物したって、ふん、雁鴨の不忍池に、何が帆を掛けてじゃい、こっちは鯨の泳ぐ大潟の万石船じゃい――何のッて言う口です。今度だって、珍らしい処を見世ものの気で呼んだんだからね。……ただ遊びじゃあ旅銭旅籠銭の余裕はなし、久ぶりで姉さんの顔は見たし、いい幸に来たんだから、どうせ見世ものなら一人でも多く珍らしがらせに、真新しい処で、鏡の間から顔を出して、緋目高で泳いでれば可いんです。」
八郎は熱い茶を立続けに煽って言った。不思議に面に颯爽たる血が動いた。
「でもね、槙村さん、大諸侯の持もの御秘蔵というのが出るんですから、衣裳には立派なのがあります。――第一天人の面は、私どもの方でも有名なのだし、玉の簪、鬘、女飾髻、鬘帯、摺箔縫箔、後で着けます長絹なんぞも、私が小児のうち、一度博物館で陳列した事がありますがね、今でも目に着いています。