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らんとうばのてんにょ
卵塔場の天女
泉 鏡花
Read 卵塔場の天女 (らんとうばのてんにょ) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 47,251 characters · 94 screens
」
「私は何とも思いはしません。」
「畑下ッてどんな処です。村かしら。」
「いいえ、町ですよ、ずッとはずれの方ですけれど、……じゃあ逢いませんか。」
「さあ、どうしようかと思って――槙村さん、聞かない振で居て下さいよ。」
「ちょっと、失礼しようかね。」
私は言った。
「飛んでもない、いずれ先生には更めてお話ししますがね――そこでだ、姉さん。」
「兄さん、構わないじゃありませんか、どっちだって、逢ったって……逢わなくッたって……」
「さあ、そのどっちだってで実は弱った。」
額をうつむけに手をあてた。
「今度来るにも、ずッと途中から気になっているんですよ。――新聞なんか見ようって柄じゃあないから、今度の事も知りやしますまい。湯屋、髪結所のうわさにだって、桜が咲いた歌舞伎の方と違って、能じゃあ松風の音ぐらいなものですからね。それとも聞き知って、いまここへ訪ねて来たって、居ないと言えば、それまでだし、……職業が職業だから、そこへ掛けては他人数で隔てが出来ます。楽屋口で断るのも仔細ないけれど、そうかって、実はね、逢いたくないことはないんですよ。」
「じゃお逢いなさいな、どうしてさ。