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らんとうばのてんにょ

卵塔場の天女

泉 鏡花

Read 卵塔場の天女 (らんとうばのてんにょ) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 47,251 characters · 94 screens

Aozora Bunko

……従って少年たちは、建具屋と鉄葉屋の弟子だから印半纏腹掛ででもいるか、と思うと、兀ちょろけた学生服、徽章無の制帽で。丸顔で色の真黒な、目のきょろりとしたのが、一人はベエスボオルの小手を嵌めた手を振るし、就中一人ロイド縁の大目金を掛けたのが、チュウインガムをニチャニチャと噛みながら、「久の息子です。伯父さん。」「伯父さん僕です。」「ごほん、……はじめまして、はい、久の主人でやして。」大古の黒の中山高帽を脱いで、胡麻塩のちょぼりとした髯を扱きながら、挨拶したのは、べんべらものの被布を着て、煤くすぶりの総の長い中位な瓢箪を提げている。「御先生様。」「はい、大先生様。」と割込んだ媽々衆が二人、二人とも小児を肌おんぶをした処は殊勝だが、その一人は、負った他に、両手に小児の手を引いていた。

「あんさん、縁者の人――こちらは養家さきの兄の家内たちや――見物をさしてたあせ。……ほんに、あんさんのお庇で……今日という今日は、私は肩身が広いぞね。」

特に、婦人にかけては、恐らく世の仁者だ、と称えられる私でさえ、これには辟易したのである。

ふとお悦を見ると、額の疵あとが颯と薄化粧を切って、その色はやや蒼ざめた。