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しんけいかさねがふち
真景累ヶ淵
三遊亭 円朝
Read 真景累ヶ淵 (しんけいかさねがふち) by 三遊亭 円朝 (さんゆうていえんちょう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 214,332 characters · 426 screens
七十七
貞「あゝ有難う」
隅「どうも重たいねえ」
貞「へえ有難う暖かでげす」
隅「何だか寒そうだこと、何か重い物を裾の方に押付けると暖かいから」
というので台所を捜すと醤油樽がある、丁度昨日取ったばかりの重いやつを提げて来て裾の方に載せ、沢庵石と石の七輪を掻巻の袖に載せると、
貞「アヽ有難う、大層暖かで、些と重たいくらいでげす」
といったが是は成程重たい訳、石の七輪や沢庵石や醤油樽が載っておりますから、当人は押付けられる様な心持。
貞「へえ有難う、暖かでげす」
といったぎりぐう/\と好い心持に寝付きました。
七十七
お隅はそっと奥の様子を見ると、一角が蹌けながら、四畳半の床の上に横になった様子でございますから、そっと中仕切の襖を閉って、台所の杉戸を締め、男部屋の杉戸を静に閉って懐中から出して抜いたのは富五郎を殺害して血に染まった儘の匕首、此の貞藏があっては敵討の妨げをする一人だから、先ず貞藏から片付けようというので、仰向に寝て居る貞藏の口の処へどんと腰を掛けながら、力任せに咽喉を突きましたから、
貞「ワーッ」
といったが掻巻と布団が掛って居りますから、苦む声が口籠って外へ漏れませぬ。