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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Read 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 511,765 characters · 1011 screens
夜の潮は燦爛と染められて、あたかも龍宮城が焼けおちているかのような壮観を現じた。
「ちぇッ、とんでもねえことになッた。それッ、早く漕ぎつけて、消しとめろ」
とぎょうてんした龍巻は、二、三十人の手下たちとともに、一どにドッと海神の社をかけだしていくと、にわかに、鳥居わきの左右から、ワッという声つなみ!
「海賊ども、待て」
「御用、御用」
たちまち氷雨のごとく降りかかる十手の雨。――かける足もとを、からみたおす刺股、逃げるをひきたおす袖がらみ。驚きうろたえるあいだに、バタバタと、捕ってふせ、ねじふせ、刃向かうものは、片っぱしから斬り立ててきた、捕手の人数は、七、八十人もあろうかと見えた。
陣笠、陣羽織のいでたちで、堺奉行所の提灯を片手に打ちふり、部下の捕手を激励していた佐々木伊勢守へ、荒獅子のごとく奮迅してきたのは、頭の、龍巻九郎右衛門であった。
「おのれッ」とさえぎる捕手を斬りとばして、夜叉を思わせる太刀風に、ワッと、開いて近よる者もない折から穴山梅雪一手の剛者が、捕手に力をかして、からくも龍巻をしばりあげた。
「民蔵、そのほうの奇策はまんまと図にあたった。