Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

Read 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 511,765 characters · 1011 screens

Aozora Bunko

ずっと後年――関ヶ原の役に、剣頭にあげた首のかずを知らず、斬っては笹の枝にさし、斬っては笹に刺したところから、「笹の才蔵」と一世に武名をうたわれた評判男は、いよいよこれから、武田伊那丸の身辺に近づこうとする変装の鳥刺し、この可児才蔵であった。

剣道は卜伝の父塚原土佐守の直弟子。相弟子の小太郎と同格といわれた腕、槍は天性得意とする可児才蔵が、それとは似もつかぬもち竿をかついで頭巾に袖なしの鳥刺し姿。

「ピピピピッ、……ピョロッ、ピョロ、ピョロ……」

時々は、吹きたくない鳥呼笛をふき、たまには、雀の後をおっかけたりして、東海道の関所から、関所を、たくみに切りぬけてくるうちに、これはどうだろう、かほどたくみに変装したかれを、もうひとりの男が、見えつかくれつ、あとをつけて、慕っていく。

ところが、世の中はゆだんがならない、その男はとちゅうからつけだしたのではなく、じつは、安土の城からくっついてきているのだ。

同じ日に、浜松から安土へきた家康の家臣、徳川四天王のひとり本多忠勝が、こッそりその男をつけさせた。――というのは、竹ノ子笠の燕作が、正則に密書をわたしたようすを、休息所の窓から、とっくりにらんでいたのである。