Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

しほんたいへいき

私本太平記(一)

吉川 英治

Read 私本太平記(一) (しほんたいへいき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 246,214 characters · 495 screens

Aozora Bunko

――もし将来の天下におなじ野心を抱く者なら、類は類に敏しで、こっちの腹も当然観破しうるはずである。この自分を目すに、いつか、中原の鹿を追う好敵手! としているのではあるまいか。

「そうだ、好敵手」

やや道誉が分りかけてきた気がしていた。

単なる婆娑羅大名としてでなく、一朝の変には、天下へ手をかける下心もある野心家として彼を見直すと、伊吹以来の事々も、今日の新田義貞を加えての一会なども、すべて彼の深慮遠謀の反映と解されぬでもない、と思った。

「おもしろい。中原の鹿は、誰が射中てようと勝手だ。さはさせじと、争う敵手が現われてこそ、なお、おもしろい」

暗い夜道の馬上、高氏は、部下のたれも知らない闘志と夢に、その肋骨をふくらませていた。――そして、大蔵の屋敷へ、宵ごろ着いた。

おそらく、直義の話は家中に伝えられていたろう。登子も、母の清子も、みな案じ顔でいたらしく、彼の姿を見て、大蔵の灯は、一ぺんに憂いを解いて華やいだ。

その後、いくばくもなく。

北条高時は病のため、執権職を罷め、従来も剃髪ではあったが、あらためて法名“崇鑑”と称える、と公に沙汰された。

相模入道崇鑑