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ずいひつ みやもとむさし
随筆 宮本武蔵
吉川 英治
Read 随筆 宮本武蔵 (ずいひつ みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 141,786 characters · 278 screens
〔中略〕新免家の侍帳にも見あたらない。そして、誰かが関ヶ原の戦いに出陣したかと探したが、どうも見つからない。〔中略〕若し出陣したとしても、あんな軽輩としてではなかったろう――云々)
大兄にこういう手数まで煩わしたかと思うと、愈※(二の字点、1-2-22)、相すまない気がするが、本位田姓は、あの地方に多い特有な姓氏であり、中位田とか小位田とかいう官田の称号が姓氏に変化したもので、滅多にない名だけに、すぐおれの祖先を書いて怪しからぬと思われたのであろうが、僕が大兄の家の系図を覗いたことはないし、古書にもない又八などという人物を、幾ら大兄が系図やお手許の古書を探したって、出てくる筈もないことは凡そわかりきったことである。
(――ともかく又八とお杉婆さんとは、吉川氏の純然たる創作であろう)
といっておられる通りである。しかし、その後で、
(――初めから武蔵の引立役に道化として引出された以上、好い役割はなかろうと思っていたが、あれはひどすぎる。昔から一人の英雄豪傑を作り出すために、出てくる相手は多く弱虫であり悪人である。今日の大衆文学も、この講談の亜流であってよいだろうか。