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ずいひつ みやもとむさし
随筆 宮本武蔵
吉川 英治
Read 随筆 宮本武蔵 (ずいひつ みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 141,786 characters · 278 screens
作者以て如何となす)
小説の宮本武蔵を読んでくれている人にはわかっているだろうが、本位田又八は、元より大兄の先祖でも何でもないが、また、特に武蔵の引立役だの道化には少しも書いていないつもりである。ありふれた現代の青年の一つの型をとって慶長の戦国に呼吸させてみたまでのことである。また、武蔵その者も主人公ではあるが、べつだん英雄豪傑に曲げて書こうとする意志なども少しも持たない。おれの家の系図書にもない人間を描いているから講談の亜流だなどは大兄の感情に過ぎないものだ。
顕彰会本その他によく掲出されている本位田外記之助と新免無二斎との事件をとりあげて、
(平田無二はこのために籠居し、その子武蔵も、故郷に容れられなかったのであろう。早くから父に従って、播州に行くこと多く、遂に永久に故郷を後にした)
と大兄は、武蔵の離郷をそれと決めているが、十七歳の出陣説を抹殺する有力な確証でもなければ、これは断定できないことであろう。
第一、無二斎は、明確に歿年は分らないが、武蔵が極めて幼少の時に、既に他界している。それからまた、大兄も引証の書として「東作誌」の記載にもあるように、