Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ずいひつ しほんたいへいき
随筆 私本太平記
吉川 英治
Read 随筆 私本太平記 (ずいひつ しほんたいへいき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 56,947 characters · 114 screens
だが途々、草鞋を買うにも小判を出し、旅籠へ泊っても、いきなり上段の間に坐ったりするので、忽ち宿役人に捕まってしまった。とどのつまりこの養子は、離縁となった。やがて明治政府となって、この人は独逸公使となっている。現、細川護立氏の祖父の御兄弟だろうか。
惇氏氏が冗談に「細川さんには貸しがある」と言ったのは、つまりそんな関係のことらしい。
足利家へは、その後で、水戸家から烈公の十一番目の一子が養子に来て、これは落着いた。
しかし、国粋主義の水戸藩が、南朝の逆臣足利氏の家系と、縁組みするなどとは、ちと奇観である。それにまた、喜連川一万石の小藩へ、御三家からの養子入りなども、常識では考えられない。
惇氏氏はニコニコしつつ、こう続けた。
「べつに文書も何も残ってはいませんがね、私の家にも水戸家にも、こんな言い伝えが昔からある。例の“大日本史”ですネ。尊氏が逆賊と決定づけられたのも、あれからですが、その編纂を督した水戸光圀(水戸黄門)も後では少々尊氏に気の毒だと考えたのか、こう遺言しておいたというんです。……これでは後世、足利家に男子のない場合は、三百諸侯から養子の来人もあるまいから、断絶になる。