Japanische Klassiker mit Furigana
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それでもわたしはいく
それでも私は行く
織田 作之助
Lesen Sie それでも私は行く (それでもわたしはいく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.708 Zeichen · 181 Bildschirme
十一
僕の思った通りだ」
隣の部屋では、望月三郎が相変らず二人の話に聴耳を立てていた。しかし、二人は無論それには気がつかなかった。
十一
「……ところで……」
と鶴雄は云った。
「くどいようだが、この百円はあんたに進呈する」
「あらッ、だめよ」
と、弓子もすかさず、
「くどいようだが、この百円はお返しします」
そして、おたがい顔を見合って笑いだしたが、鶴雄は笑いやむと、
「悲願っておっしゃったでしょう。悲願といえばね、僕はこの百円はどうせ悲願救援同盟に寄附するつもりだったんだ。あんたも戦災者の一人でしょう、だから、受け取る権利がある」
「権利はあっても、受け取らねばならぬ義務はないでしょう」
「しかし、姉さんを救う義務はあるでしょう」
そう云うと弓子はふと鶴雄の顔を見つめた。が、やがて、坐り直すと、ぺこんと頭を下げて、
「じゃ、いただきます。いえ、お借りして置きます。ありがとう」
「その代り、サイコロ下さい」
「ああ――」
思い出して、サイコロを鶴雄に渡すと、鶴雄は、
「これだけ貰えば、用はないッと……」
立ち上った。
「あら、もうお帰り……?」
「ええ」
そして、さよならと、鶴雄は出て行った。