Japanische Klassiker mit Furigana
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みなかみきこう
みなかみ紀行
若山 牧水
Lesen Sie みなかみ紀行 (みなかみきこう) von 若山 牧水 (わかやまぼくすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.087 Zeichen · 203 Bildschirme
飛騨高山町
そして霜の深げな稲の上に照り渡っている月光は寧ろ恐ろしいほどに澄んでいた。
飛騨高山町
翌朝、老案内者は別れて安房峠というを越えて信州地白骨温泉へ帰って行った。私は平湯峠を越えて高山町まで出るつもりであったが、流石に昨日の疲労で足が利かず、途中の寂しい村に泊って其次の日の夕方高山町に着いた。
高山では某という旅館が一等いいという話を聞いていたので、とぼとぼとその門口へ辿り着いて一泊を頼んだ。ところが茣蓙を背負い杖をつき、一月余りも床屋に行かなかった私の風態からか、一も二もなく断られてしまった。然し、もう私は其処から動くのが苦しかった。でもう一度押し返して頼んでいると内儀が笑いながら帳場から出て来て、どんな部屋でもよろしくば、ということで階子段上の長四畳に通された。それでも嬉しく、風呂から上って夕飯の膳に向いながら一杯飲み始めていると、階子段の下で珍らしい音の鳴り響くのを聞いた。電話の鈴が鳴っているのである。オヤオヤ高山に電話があるのか、と先ず思った。これは強ち高山町をそう見たわけではなかった。私は二十日余り、郵便局まで八里もあるほどの白骨温泉に身を養っていて、二三日前から急に無理な歩行を続けて来たので、全く世離れのした、茫乎とした気持になっていた。