Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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スウィスにっき

スウィス日記

辻村 伊助

Lesen Sie スウィス日記 (スウィスにっき) von 辻村 伊助 (つじむらいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 216.275 Zeichen · 410 Bildschirme

Aozora Bunko

が、まずまずどうやら無事に、一時間ばかりかかって、クーロアールの真ン中に、まっ黒に甲羅を干した、一枚岩のとっつきまで辿り着いたが、見ると岩のはずれは、わんぐりと雪がえぐれて、もう下りて行くことは出来ない、もとより腰は下ろせず、矢張り背ろむきになったまま、雪の絶壁と、にらめっこをしたままの数珠つなぎで、一息ついたが、今考えてもあまりいい恰好ではなかったようだ。おまけに昼過ぎのせいなのか、尾根ほど風のあてないためか帽子の縁をつたわって、残念ながらどうも冷汗らしい奴が、頬にじとじと滲むのが、顔の皮に稀硫酸でもぶっかけるようにびりびりする。

どう考えても、此の岩からは下りられない、兎も角も、一枚岩を横に這って、東のはずれまでこぎ付けると、遥かむこうに、今朝登った足跡が、立て掛けた梯子のように望まれた。あれまで行けばどうとかなろうと云うんで、何しろ今いるところは危なくて耐らないから、岩を離れると、又雪の壁を横にからんで、南へ南へと足形を切った。

でゆっくりと気を落ちつけて、側き目もふらず、杖をふるって路を刻みつけながら、その雪の幅は、一町あまりもあったろう、縦板のように走ったクーロアールの真ン中を、かれこれ中ほどまではとっついたろう。