Japanische Klassiker mit Furigana
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スウィスにっき
スウィス日記
辻村 伊助
Lesen Sie スウィス日記 (スウィスにっき) von 辻村 伊助 (つじむらいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 216.275 Zeichen · 410 Bildschirme
私達は多少の好奇心も手伝って、ストーヴの側で樅の根株のパチパチはねるのを気持よく聞きながら、静な朝を迎えた。窓から見ると、雲の這い上っては消え失せてゆく前山の、中腹から上は真白に新雪に覆われて、湖水に面した絶壁にしがみついた樅の木立は若芽の緑が斑に雪をかずいて居た。
が、日が照るにつれて、さすがに陽気は目に見えてゆるんで、外にいても外套の必要を感じない位になった。私達は湖水のふちを、山毛欅の多いビュルクの裾を廻って、Faulensee の水に臨んだ芝生で休んだ。静かな日だ、湖水の水は平らに、鏡のように雪の影を宿して、インテルラーケンのあたりから、船のホルンがかすかに湖を渡って響いて来る。
雨上りの空は一点の曇りもなく、湖と等しく濃く深く澄み切っていた。眼をあげて虚空を見れば、無辺際に築き上げた氷の山岳が、屹として強い日ざしにさえかえっている。そこに何等の雲影もなく、万象は光明を象徴せる如く感ぜられる。その何処にも罪悪をかもすような陰影はない。この透明な蒼空の下に、この至純な盛夏の新雪の間に、建国の日を祝う国民を私は羨まざるを得ない。
日暮からはいかにも祝日らしい光景を呈する。