Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ごべんのつばき

五瓣の椿

山本 周五郎

Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme

Aozora Bunko

化粧をしていた。蝶太夫は心の中で「うっ」といった。これまでの娘むすめしたつくりと裏返しのような、あだっぽい、むしろ伝法な姿であって、しかもその身ごなしの柔軟さや、羞みのために消えたそうな表情のういういしさは、たとえがたいほど嬌かしく、いろめいてみえた。

――沢田屋だ、と蝶太夫は思った。東蔵そっくりだ。

おりうは膳の前へ来て坐り、そっと微笑したまま俯向いてしまった。蝶太夫はまた胸のときめきを感じ、もう一つ手酌で飲んだが、酒をこぼした。

「貴女は薄情なひとだ」彼は自分の声が昂ぶっているのに気づいた、「あのときはあんなふうに消えてしまうし、それっきり鼬の道で、いくら逢いたくっても逢うてだてはなし、罪なひとだ、おりうさんというひとは」

おりうは顔をそむけた。俯向いたままで、重たげにゆっくりと脇のほうへ向き、しんと黙っていた。――蝶太夫は怨みを述べた。どんなに彼女が恋しかったか、どんなに逢いたかったか、そのうえ大事な話があること、それは自分たちの一生にかかわることで、そのためにも早く逢いたかったことなど、――話しているうちに呼吸が荒くなり、ふしぎな感動のため躯がふるえてきた。