Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠1

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme

Aozora Bunko

これが窮したあげくの思案と見えて、

「これを取っておいて下さい」

「そんな物は要らねえ」

黒坂は平打の簪をグッとひったくって、

「さあ、もう一ぺん駕籠に乗り直しておくんなさいまし」

「駕丁さん、駕丁さん」

火縄の老爺は見兼ねて膝を叩いて立ち上って来ました。

「まあまあ」

割って出たけれども、さしあたり仲裁の言葉に行詰って、

「いいかげんにするがいいやな」

「何がいいかげんだい、爺さん」

「女衆にあんまり言いがかりを附けねえことだ」

「爺さん、言いがかりというのはどっちのことだ、引込んでいな」

「あれ、どうしましょう」

「よ、もう一ぺん乗り直しておくんなさいまし」

女の腕を押えて、片手は帯のところへかけて押せば、よろよろと駕籠の縁へ押しつけられます。

「あれ、堪忍して下さい」

こうなると机竜之助、たとえ血も涙も涸れきった上のこととは言え、なんとか言葉をかけねばならぬ場合に立至ったのです。

「駕丁――駕丁」

黒坂が振返って見ると、今まで気がつかなかった旅の武士が一人、笠越しにじっとこっちを見据えています。

「何ぞ御用ですか」

「駕籠賃は拙者が立換えるによってこれへ出ろ」

「へえ」

連れというのはこの武士のことであろうかと、黒坂はそう思って竜之助の傍までやって来て、