Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme
「はい……」
「その、わしの親たちはね、母親の里なのですよ、紀州の山奥に竜神という温泉場があるのですよ、そこでね、いま温泉宿をやっているのですよ」
「はい……」
「こちらの身上を、すっかり片づけて、紀州へ隠れて、かなりの温泉宿をやっているのですよ。どうです、お豊さん、そこへわたしと一緒に行きませんか」
「紀州へ?」
「エエ、わたしもね、お前さんの伯父さんを鉄砲で撃ったけれども、それはちっとも悪気があってやったわけではなし、お前さんを欲しいばかりでしたことなのだよ。仕合せに傷も今ではすっかり直ったそうだし、鍛冶倉の野郎は殺した方が人助けなんですからね、国越しをしてしまえば、もうそんなに役人に睨まれることはないのですよ。紀州の竜神へ行って温泉宿をやり、わしが亭主になって、お前がお内儀さんになって、所帯を持とうではないか、ね、そうして下さい、お豊さん」
金蔵は、ねんごろに、首をさげ手をつかんばかりにしてお豊の前に願うている。
「けれどもねえ、金蔵さん、お前のお心はほんとうに有難いと思うけれども……」
「ウム、やっぱりいけないのかいお豊さん、どうしても、お前はわしの言うことを汲みわけてくれないのかい」