Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

わすれのこりのき

忘れ残りの記

吉川 英治

Lesen Sie 忘れ残りの記 (わすれのこりのき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 193.050 Zeichen · 383 Bildschirme

Aozora Bunko

家庭の客と、その家の少年との関係を、いまとなって考えてみるに、きれいな女客の印象は、男の客よりもはるかに複雑な記憶をつよく残している。逆に、客が男性で一方が少女のばあいにしても事はおなじなのではあるまいか。いったい日本の家庭では、極めて封建的なといわれたぼくらの少年時代でさえ、日頃のしつけはやたらに厳しいくせに、外からの客と親共とは案外なことを子供の前で迂濶に喋っていたように思われる。

ところが、子供はまま客と親共の会話のあいだから大人も思い及ばぬ程なものをしばしば嗅ぎとってしまうのだ。「子供だから分るまい」という共通な多寡のくくり方は、たいがい大人たちの滑稽な浅見か親馬鹿のひとりぎめと云ってよい。元より大人同士の秘語を子供が正しく理解するわけでは決してないが、しかし成長期の児童という貪欲な肉塊のなかには、蠅取草の消化力みたいな摩訶不思議な作用が潜んでいるもののようである。大人同士のちょっとした会話の端を耳に捉えて、いつか理解以上の理解を醸成しながらそれを密かに自分へ栄養づけていくところは蠅取草の生態とちっとも変わるところがない。

たとえば、ぼくにはこんな一、二例の経験がある。