Japanische Klassiker mit Furigana
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わすれのこりのき
忘れ残りの記
吉川 英治
Lesen Sie 忘れ残りの記 (わすれのこりのき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 193.050 Zeichen · 383 Bildschirme
明治三十六年
明治三十八年
更に、控訴院へ上訴をつづける。
明治三十六年(1903) 十一歳
異母兄政広、父と争いて出奔。以来数十年後まで、その消息を絶つ。
父、敗訴、身を退き、家運、急に没落。父の大酒いよいよ募り、数度血を吐く。幼児六名をかかえ、酒狂の人を良人とする世馴れぬ母の苦労はこの日から始まる。家財を売るに、いつも真夜半に道具屋の車を裏につけさせ、一室いくらと、一室中の物すべてをくるんだ一部屋ずつで売って行った為、当時横浜の古物屋仲間の評判になる。
十月、突然小学校の昼休みに帰宅のまま、父より学校を退がれといわれ、大声で泣き出す。数日の後、オテイちゃんの親類先の関内住吉町の川村印刻店へ蒲団持ちで小僧にやられる。川村氏は竹雨と号し、其角堂派の金港俳壇の宗匠で篆刻家でもあった。行く早々、俳人たちが店頭で俳句ばなしをするのを耳にし、やっと悲しさを忘れ、ツゲ材の稽古印に、印刀の持ち方など習う。
明治三十八年(1905) 十三歳
家、西戸部蓮池の小住居に変る。引っ越し先のわが家を訪ね、変り方におどろく。主人竹雨と俳友の客二氏が、雨の夜、雨の題で一文を書けという。書いてみせたところ、翌朝、手紙を添えて暇を出された。