Japanische Klassiker mit Furigana
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わすれのこりのき
忘れ残りの記
吉川 英治
Lesen Sie 忘れ残りの記 (わすれのこりのき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 193.050 Zeichen · 383 Bildschirme
小俳人
けれど、母もぼくが前借までして来た気もちを、よろこんでくれなかったわけではない。むしろ悲しい欣し泣きだったのかもしれなかった。ぼくは弟を連れて、戸部の大通りにある年の市へ出かけ、露店ののし餅やら輪飾りなどを買い歩いた。
小俳人
続木商店は食料、洋酒、雑貨を商っていた。日の出町通りでも屈指な店舗だった。が、小売はどうでもいい風で、ほんとの営業活動は横須賀支店の方にあった。看板には“内外雑貨海軍御用達”とある。つまり横浜本店はその仕入部と、主人夫婦の住居をかねたものだった。
ぼくはここの丁稚に住込むと、その日に名前を改められた。主人から「英吉としなさい」と云い渡されたのである。以後、主人夫婦は英吉と呼び、ほかの店員や奥の者は、英どんとぼくを呼んだ。
主人の続木氏はやや背は足りないが色白で小肥りな紳商然たる人で、やたらに金歯や金グサリや金ブチ眼鏡など光らせている嫌味を除けば、四十がらみの好男子で、いつも上等な葉巻を咥え、大丸髷をきれいに結い上げた若いきれいな御しんさん(御新造さんの略、おかみさんのこと)を携えて、本店と横須賀支店とを一週間おきに往復していた。