Japanische Klassiker mit Furigana
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わすれのこりのき
忘れ残りの記
吉川 英治
Lesen Sie 忘れ残りの記 (わすれのこりのき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 193.050 Zeichen · 383 Bildschirme
或る日の酒父像
――で、ぜひ一度観に行こうと思っていたが、そのうちにあの戦下の焦土となってしまった。
或る日の酒父像
あんにゃもんにゃ、などという言葉は下町でも今は余り使われていないのではあるまいか。ぼくら子供時分にはややもすると「――この子は、ほんとにまだ、あんにゃもんにゃで」とか、「どうして、そういつまで、あんにゃもんにゃなの」などとのべつ云われたものだった。
十四、五歳ともなれば、現代の子は、いわゆる十代の季節をはっきり持ち、異例だろうが三面記事にも時々登場して、単独の自殺もする。心中もやる。そんな子でなくても、両親へは批判の眼をもつ。大人達へのたいがいな嗅覚は備えてしまう。決して“あんにゃもんにゃ”なんていえる眸の群れではない。
けれど、ぼくら明治の子には、それはいかにもふさわしい言葉であったらしい。ぼくらは間違いなくその分らず屋以上の、あんにゃもんにゃ達であった。――自分のばあいで云えば、現に家庭の内面では、ぼくの十三から十四の間に、没落へ入る傾斜を急にしていたはずだし、いよいよ大酒になるばかりだった父の酒狂ぶりにも、母の悩みにも、義兄の一身上や何かにつけてのごたごたにも、「これは、ただ事でない」