Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
わすれのこりのき
忘れ残りの記
吉川 英治
Lesen Sie 忘れ残りの記 (わすれのこりのき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 193.050 Zeichen · 383 Bildschirme
事実の報告ならその事実性を、露骨なら露骨に徹した猥行為の打ち明けばなしである程、話題を囲む連中の傾聴と喝采に値した。
ここに到って、ぼくなどは心ひそかに、まだ自分の未知な未経験な大人の別生活があることを今更のように思って、唾を呑みつつ聞き耳たてたものだったが、しかしその影響が後頭部に幾日もこびりついているような影響は覚えなかった。いや就業のブーに追われて小屋を出るやいなや吹ッ飛んでいたのである。また、かつてはぼくも自慰を覚えて、反省と自己の破れの繰返しに憂鬱がちな日もあったが、ドックの重労働を課せられてからは、全く意識せずにその悪習も忘れていた。家に帰って空腹を充たすと、疲労しきった肉体は、ぜいたくな夢想をえがく瞬間もなく、眠りへ直行してしまうのだった。
だから――と云って、ぼくの例では適切でないかもしれぬが――猥談の常連みたいな他の大人達も、じっさいはそれ程な猥漢でもないし行為はしていないのではなかったろうか。毎日の職場が一歩過ればドックの底に落ちて脳骨もみじんとなるような死か生かの奈落を覗いている仕事なので、彼らといえ前夜の不摂生や体のコンディションには非常に細心なのであった。