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Japanische Klassiker mit Furigana

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わすれのこりのき

忘れ残りの記

吉川 英治

Lesen Sie 忘れ残りの記 (わすれのこりのき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 193.050 Zeichen · 383 Bildschirme

Aozora Bunko

けれどそれも南京らしゃめんと云うと何か違った意味をもって聞えた。下級ということがはっきりしていた。白人のらしゃめんにも、ぴんからキリまであったろうが、通いらしゃめんにしても、家持ちの洋妾にしても、概して相当にいい生活保証を得ていたらしく思われる。それと、日本に居留していた外人の質その物も良かったせいであろう、関係した日本婦人にたいしては或る程度の責任感をみな持っていたようだ。だから彼らが帰国した後も、生活費だけは幾年も送金してくれているとか、生れた子供には成人までの教育費が保証されているとか云う例は、珍しくも何ともなかった。従って、その頃の横浜には、混血児も多かったが、しかしぼくらの子供心では、そう大して異質を感じなかった。ただ、らしゃめんの子と、云ったりする事はあった。

らしゃめんの贅美な体臭には、敬遠の風を見せる近所の人も、アマさんには、親しみを示して、アマさんの口から異人館の主人の生活振りなどを探ることを、何か秘密めいた興味のような顔して聞くのだった。

そのアマさんは、外出にも白いエプロンを胸に掛け、買物籠を腕に、乳母車など押していた。ぼくの母は、アマさん風俗を真似して、ぼくだの、下の妹たちにも、エプロンを造って胸にかけさせた。