Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
ともに飲み、ともに歌って踊りたく候間、さっそくにもお越しくだされたく候――」
「やっぱりね」
紀久子はそう言って、深い溜息を吐いた。
「行くことがあるものか!」
敬二郎は怒鳴るように言って、白樺の皮をストーブの中に投げ込んだ。しかし、紀久子は真っ青な顔をして、微かにわななきながら腰を上げた。敬二郎の目は驚異と哀愁との表情を含んで輝きだした。
「紀久ちゃんは行くつもりなのか?」
「…………」
「紀久ちゃん! 頼むから行かないでくれ。行かないでくれ」
「…………」
「紀久ちゃんが奴の言うことを聞かないからって、奴が何かしたらぼくがどうにでも始末をつける」
しかし、紀久子はじっと空間を見詰めて、夢遊病者のようにふらふらと静かに戸口のほうへ歩いていった。
「紀久ちゃん! お願いする。頼むから行かないでくれ」
「…………」
「紀久ちゃん! ぼくはもう、本当に生きてはいられない」
しかし、紀久子はもう魂の脱殻のように、黙ってふらふらと静かに歩いていった。敬二郎が抱き止めようとしても、無感情な機械人間のように静かにその手から脱けて、ふらふらと歩いていった。敬二郎はくようにして悶え悩みながらただその後を追うだけで、もはや機械のようにして動いている紀久子を抱き止めようとはしなかった。