Japanische Klassiker mit Furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme
「なにか小さい金の小牌が付いておりますな」
「四つの文字に『与民同楽』と彫ってあるので」
「なるほど、今上の大御心は、そこにあるのでしょうな。お……小乙(燕青)。熱いのをもひとつ持っていらっしゃい」
「はい」
その小乙といい柴進といい、どう見ても人品のいい主従なので王もすっかり安心してしまったらしい。ところが、さいごの酒瓶には痺れ薬がいつか混ぜてあったのである。たちどころに、王は麻酔におち、柴進は王の着ていた錦袍、帯、剣、はかま、たび、そして花冠まですっかり自分の体に着け換えてしまった。
そして王が持っていた御用包みの何かまで小脇にはさんで。
「燕青、あとはたのむよ」
「行ってらっしゃい。こっちは、どうにでも巧くごまかしておきますから」
柴進は、すうっと出て行った。店の者も気がつかない。
しかも実物の王よりは柴進のほうが、鞋の運びまでが立派であった。東華門、正陽門の二衛府を通ると、内裏もいわゆる鳳闕のまぢかで、瑠璃のかわら、鴛鴦(おしどり)の池のさざなみ。生々殿の長廊はその果ても知れず、まったく、ここもこの世かを疑わせる。
いつか彼は、文徳殿の庭から紫宸殿のほとりへ来てたたずんでいた。