Japanische Klassiker mit Furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme
よだれを垂らして、金蓮をあがめ迎え、朝飯晩飯の支度から使い走りまで自分がやって、
「女房よ、金蓮よ」
と、随喜渇仰の有様なのだ。そこでその妻のろ振りがまた、さあ町じゅうのいい笑い草となった。いや岡焼きも手つだっていよう。寄れば触れば、「あの三寸男が」だの「ちんちくりんのボロ布れが」のと、武大の家には町中の目が見通す節穴でもあるような騒ぎだし、あげくには、
「いやはや、惜しい美肉が、犬コロの口へ落ちたもんさ」
と、囃されたりした。
その漫罵と人々の意地悪さには、さすがの武大も耐えかねた。金蓮をつれて、とうとう生れ故郷を逃げ出し、隣県の紫石街に小世帯を持って、じぶんは毎日、揚げ饅頭を売りに歩いていたものだった。
「ム、そうか。……そいつあ兄さん、俺のいないまに、とんだ苦労をしなすったね。が、まアいいじゃありませんか。そんな別嬪を女房に持ちゃあ一生の得だ。ちっとやそっと世間に妬かれたって仕方がねえや」
「そうだよ、武松。わしもそう思ってな、今じゃ気楽に稼いでいるのさ。女房の金蓮もほんに気だてのいい女でね」
「そりゃお仕合わせだ。嫂さんがそんないいお人なら、いちど会わせておくんなさい」