Japanische Klassiker mit Furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme
――ひぇッっ、と天井の辺で潘金蓮の四肢と裾が蝶の舞いを描いた。武松の両手に高々と差し上げられていたからである。
「たいがいにしやがれっ。この女奴隷め!」
とたんに、部屋の扉口の下で、ぺしゃんと濡れ雑巾でも叩きつけたような音がした。そのままかと見ていると、彼女は跳ね返っていた。泣きもしない。痛い顔もしない。眦の紅を裂いて、武松を睨めつけ、恨みの声を投げてきた。
「よくも恥をかかせたわね。なにさ! 女が男を思ったって、ちっとも不思議はありゃしないわよ。それが通じない男のほうが、よッぽど片輪か木偶ノ坊か、どうかしているのよ!」
それでもまだまだ、容易に腹は癒えないらしく、にんやり自分を見すえている武松の醒めた顔へもう一歩迫って、
「二郎さん、覚えておいでね。ひとがこんなにも親切に……わ、わたし……自分の身もわすれて可愛がッてあげたものを、よくもひどい目にあわせたわね。もう何もしてやらないからいい」
後ろの扉を開けるやいな、ぴしゃっと風を残して、台所のほうへ行ってしまった。
しいんと、そのまま、雪のたそがれが来る。
灯ともし頃、武大は雪で丸くなって帰って来た。