Japanische Klassiker mit Furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme
言いすてると、大尽の繩尻とった一行の中に交って、意気揚々と引きあげました。――意外です。まことに意表をついた椿事です。
「ウッフフ、わッははは」
退屈男は、爆発するように大きく笑うと、ほがらかに呟きました。
「そうであろう。そうであろうよ。所司代詰の役侍と申さば、痩せても枯れても京一円の警備承わっている者共じゃ。何ぞ仔細がのうては町人風情に追従する筈はあるまいと存じておったが、わははは、わははは。みな捕り物ゆえの大芝居か、面白い。面白い! いや、面白いぞ。――のう、八ツ橋。京も存外に面白いところじゃな」
然るに、その八ツ橋太夫が、どうしたことか浮かぬげな面持で、明け放たれた窓べりにより添いながら、しきりに往来を見すかしているのです。不安げに、うれわしそうに、そして合点の行かぬもののように、じっと見守っていましたが、不意にそのとき、何におどろいたものか、あッ、と小さく叫びながら慌てて面を袖でおおうと、よろめくように打ち倒れました。
「何じゃ! いかがいたした?」
いぶかりながら歩みよって、窓べりからのぞいて見ると、意外です。さらに意外でした。今のさき雑言交りの啖呵をのこして一行と引揚げていったばかりのあの弥太一が、朱に染まって呻き声をあげながら、ほんのそこの往来先にのけぞっているのでした。