Japanische Klassiker mit Furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme
一一
これにて御免仕る。両人かえるぞ。参れ」
すうと出て行きました。
一一
不審なのは女の素姓です。
京弥と菊路の目と顔が探るように左右からつめよりました。
「あれなる女はいったい何ものでござります」
「ききたいか」
「ききたければこそお尋ねするのでござります。どこの女狐でござります」
「女狐なぞと申すと口が腫れるぞ。あれこそはまさしく――」
「何者でござります」
「腰本治右の娘、将軍家御愛妾お紋の方よ」
「えッ! ……。ほ、ほ、ほんとうでござりまするか!」
「懸値はない。びっくりいたしたか。なかなかの美人じゃ。別して膝の肉づきは格別じゃったのう」
格別どころの段ではない。将軍家御愛妾の膝に枕したとあっては、いかに主水之介、江戸に名代の傷の御前であろうとも、事が只ですむ筈はないのです。
京弥のおもても菊路の顔も血のいろを失いました。
「飛んだことになりましたな。もしもこの一条が上様お耳に這入りましたら何となされます!」
「何としようもない、先ず切腹よ」
「それ知ってかようなおたわむれ遊ばしましたか!」
「当り前よ。右膝は将軍家、左り膝は主水之介、恋には上下がのうてのう。美人の膝国を傾けるという位じゃ。