Japanische Klassiker mit Furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme
三
「面白い。ドンツク太鼓をききながらお籠りするのも話の種になってよかろうぞ、万事の手筈せい」
「へッへへ。手筈と言ったって、おいらにゃこれがありゃいいんだ。酔がさめて夜半にまた喧嘩虫が起きるとならねえからね。ふんだんに油を流し込んでおくべえと、さっきの小判のうちからね、この通り用意して来たんですよ」
背中の奥から、盗んだ西瓜でも出すように、こっそり取り出したのは、すさまじいことに一升徳利が二本です。しかも万事に抜け目がない。
「ここが一番風通しがよくてね。ひと目にかからず中の様子はひと眺めという、お殿様の御本陣にゃ打ってつけの場所です。今のうちに取っておきましょうから、おいでなせえまし」
いざなっていった所は、広縁側の柱の蔭の、いかさま見張るには恰好な場所でした。そのまにもひとり二人、五人、八人といやちこき善男善女達が、あとからあとからと参詣に詰めかけてお山はしんしん、太鼓はドンツク、夕べの勤行の誦唱も極楽浄土のひびきを伝えながら、暮れました、暮れました。善も悪も恋も邪欲も、只ひと色の黒い布に包んで、とっぷりと暮れたのです。
三
ふけるにつれて、参籠所はギッシリと横になる隙もない程の人でした。