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Japanische Klassiker mit Furigana

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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme

Aozora Bunko

なおその二つでも不足だったら、あれで行くのです。あれで行くのです。江戸御免なるあの月ノ輪型の向う疵と、諸羽流正眼崩しのあのすさまじい剣脈で行くのです。

「しっとりと霧が降って、よい夜じゃ。京は霧までが風情よ喃。駕籠屋! 帰りにどこぞで一杯参ろうぞ」

などと江戸前の好もしくも風流なわが退屈男は、胆力すでに京一円を蓋い、気概また都八条を圧するの趣きがありました。

だが、目ざしたその所司代番所へ行きついて見ると、これがなかなか左様に簡単には参らないのです。必死に駈けぬけて先廻りした二人が早くもその手配をしたのか、それとも夜はそうしておくのが所司代番所のならわしであるのか、門は元よりぴたりと一文字に堅く締め切って、そこには次のごとき威嚇顔の制札が見えました。

下乗之事

禁中ヨリノ御使イ、並ビニ江戸

公儀ヨリノ御使者以外ニ夜中ノ

通行堅ク御差止メノ事

はっきりと禁裡御所からのお使い、並びに江戸お公儀からの使者以外は、夜中の通行堅くお差止めの事と書いてあるのです。無論その表書き通りであったら、たやすく開門させることは困難であろうと思われたのに、しかし退屈男は、まるでその制札なぞ歯牙にもかけないといった風でした。