Japanische Klassiker mit Furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme
退れッ、退れッ。霊場を騒がして何ごとじゃッ。退らッしゃいッ」
「申すなッ、無礼であろうぞッ。狼藉者とは何を申すかッ」
ぴたりそれを一喝しておくと、退屈男は自若として詰りました。
「いらぬ邪魔立て致して、御僧は何者じゃ」
「当行学院御院主、昨秋来関東御巡錫中の故を以て、その留守を預かる院代玄長と申す者じゃ。邪魔立て致すとは何を暴言申さるるか、霊地の庭先荒さば仏罰覿面に下り申すぞッ」
「控えさっしゃい。荒してならぬ霊地に怪しき女掏摸めが徘徊致せしところ見届けたればこそ、これまで追い込んで参ったのじゃ。御僧それなる女を匿い致す御所存か!」
「なに! 霊地を荒す女掏摸とな。いつ逃げこんだのじゃ。いつそのような者が当院に逃げ込んだと申さるるのじゃ」
「おとぼけ召さるなッ、その衣の袖下かいくぐって逃げ込んだのを、この二つのまなこでとくと見たのじゃ。膝元荒す鼠賊風情を要らぬ匿い立て致さば、当山御貫主に対しても申し訳なかろうぞ」
「黙らっしゃい。要らぬ匿い立てとは何を申すか! よしんば当院に逃げ込んだがまことであろうと、窮鳥ふところに入る時は猟夫もこれを殺さずと申す位じゃ。ましてやここは諸縁断絶、罪ある者とてもひとたびあれなる総門より寺内に入らば、いかなる俗法、いかなる俗界の掟を以てしても、再び追うことならぬ慈悲の精舎じゃ。